GINNSEI ネタ作りING

もがくニートはニートらしく、もがいて騒いでJUST DO IT!!!常に現在進行形で新しい事に挑戦していきたING達。

愛か平和〜Love or Peace〜【完】

前回までのあらすじ


小心者で内気な男の前に現れた一輪の花。

ショボくれた村のアイドル的存在だった花に彼は恋をする。

果たして彼は

自分の欲にまみれた愛を選ぶのか

村が元気であるよう平和を選ぶのか






【本編】


引っ越しの前夜、彼は花の元へ向かった。

そしてポケットから1枚の紙切れを取り出し、そっと花の横側に置いた。


『今まで素敵な夢を見させてくれて

    ありがとう。またね。』










それから5年…

新しい街でもやはり彼はスマホ

にらめっこをしていた。

ただ、昔よりしかめっ面の方が増え

ている感じだった。


一通り終えると、布団に突っ伏し

「ふぅー…」っと溜め息。


なんだか悶々として冴えない毎日。

自分の心に雲がかかってる状態。

今にも雨が降り出しそう…



(あの花、どうなったかな…)



実はこの5年間、一度たりとも忘れたことはなく、ずっと頭の片隅にひっそりと咲いていたのがあの花だった。




彼は勢いよく飛び起き、財布とスマホを持って家を飛び出した…


気がついたら彼はその場所に立っていた。

5年前とさほど変わってはいなかった。

あの花がいないことを除いては。



(そりゃ、そうだ。5年も経ってる。

今更会いたいと思っても遅すぎる話だ。)



そんな時だった。


「ずっと探したよ。やっと会えた。」


「!?」

聞き覚えのない声の方を振り返ると視線の先には1人の女の子が立っていた。

視線が合うと彼女はニコッとした。

なんだろう。このどこか懐かしさを感じる温かさは…ま、まさか!?

いや、そんなはずはない!


恐る恐る口を開いた。

「も、もしかしてあなたは…」

そこまで言うと、彼女はおもむろに

服のポケットから1枚の薄汚れた紙切れを取り出し、彼に見せた。


驚きが彼を襲う。

それもそのはず、見覚えのある字が書かれていたからだ。

やっぱりそうだ!間違いない!

あの時の!…でも、そんなこと有り得ないだろう普通。


思考回路がぐちゃぐちゃになっていた彼に、彼女は口を開く。



「あの花はね、小さい時からずっと私が育ててたの。」



「!?(いや、うそでしょ!

ここは彼女があの花っていうシナリオじゃないの?)」



なおも彼女は続けた。

「それで不思議に思うことがあってね。私が嬉しい時には明るく咲いて、落ち込んだ時には一緒にショボっとしてくれて。なんだか私の写し鏡みたいだなって。」

「だからね、大好きな村の人たちが花を見て元気になってくれるのを見てて、私も嬉しかったの。」


なるほど。そうだったんだ。

彼の思考回路がスッと紐解かれていった。



やっぱり彼女(花)は、村の人が好きだったんだな。

この選択をして良かった。



「ん?でも、やっと会えたって…」



すると彼女は少し黙り、うつむき照れながらこう答えた。

「あなたが見てた素敵な夢は、私にとっても素敵な夢だったから。それにちゃんと『またね。』ってあなたは言ってくれた。」



「夢は見るものじゃなくて叶えるものでしょう?笑」

そう言って上げて見せたその笑顔は彼のずっと大好きな笑顔だった。



もう言葉なんていらなかった。

彼は彼女を強く抱きしめた…









「はっ!」

彼はおもわず目を覚ました。

どれくらい寝ていたのだろうか。

時計を見ると夜の11時。



「ふぅー…」っと溜め息。

見慣れた天井。

見慣れた部屋。




ただ、違っていたものがあった。


隣には彼の大好きな寝顔。


そして、その寝顔にそっくり

天使のような小さな寝顔。




「この選択をして良かった。」


                                                【完】




ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

短く!短く!とは思ってはいたんですが、振り返ってみるとやはりこれだけ長くなってしまいました。笑

(時間も3時間程かかりました笑)


こんな感じでこれからも

書いていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。^ ^