その男.....
【好奇心】
それは底知れず、鎮火していた魂を震え上がらせて、凄まじいほどの集中力と、狂気を感じさせるほどのやる気をもたらす。
彼は【好奇心】に純粋な男であった。
【好奇心】によって彼は生かされていた。
そんな彼に【好奇心】を覚えた僕は、少なからずワクワクした。
彼の事をもっとよく知りたい。
何か自分も変われるような気がする。
自分も自分の【好奇心】に素直になりたい。
【彼の好奇心】が【僕の好奇心】を呼び覚ました。
このワクワクする感じ
久しぶりだ。
人生が明るくなった気がした。
らしく生きるってこういう事なのか、
とまで思えた。
彼に感謝しかなかった。
【好奇心】に素直に生きられる生き方がかっこいいと本気で思った。
しかし
彼はそう思ってなかった。
彼は悩んでいた。
彼は【好奇心】に怯えていた。
彼はこう言っていた。
「【好奇心】に純粋っていうのはそんなに素晴らしい事ではない。純度によるだろうけど、僕の場合は違う。どちらかと言えば病的だ。【好奇心】を持ってしまう事で、もうそれを自分自身が体験しないと気が済まなくなるんだ。余計な事は考えれない。気づいたら行動しているんだ。我慢できないんだよ。これはとっても恐ろしいことだよ。」
彼の言葉は震えていた。
とても冗談を話しているようにはみえなかった。
「君は僕の生き方がカッコいいと言ってくれたね。でも、そんな事はない。今はまだいい。【好奇心】の向くベクトルが明るいことだからだ。でも、もしこの【好奇心】が人として誤った方向に向いたらどうなるだろう?僕はそれが駄目だと思っていても、たぶん、やってしまうだろう。人間が当たり前のように呼吸をしているように、僕も当たり前のようにしてしまうだろう。僕はいつかくるかもしれないその時が恐くて恐くてしょうがないんだよ。君にもいつかわかる日が来るかもしれない。君には何か自分と似たようなものを感じる。決して自分を失ってはいけない。自分の【好奇心】をコントロールをするんだ。」
この言葉を最期に。
彼は姿をけした。
消息がわからなくなった。
彼は【好奇心】にのめり込まれて、コントロールを失い、想像していた事が現実になったのかもしれない。
そして、
次は自分だ。
彼の言葉を思い出す。
抑えられない【好奇心】
どうしても純粋に、自分の体験として、やって見たい。
だめだ。
抑えられない。
知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい
知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい
知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい
【好奇心】が心を支配する
【好奇心】が反応している
【個室DVD鑑賞VR完備】
うおぉぉぉぉーー
VRだって?
いったいどうなるんだ。
目の前で映像が見えるのか?
知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい
うあぁぁぁぁぁぁ
僕にはそれを知る権利はない
金もない。
ここに使う金がない。
【2時間2500円、3点アイテム付き】
これは安いのか?
アイテムってなんだ?
3点のアイテムってなんだ?
VRという装備がありながら、俺は他に3点も
2500ゴールド払うだけでアイテムをゲットできるのか。敵はそんなに強いのか?アイテム使わないといけないほどの激しい戦いなのか?
だめだ。
知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい知りたい
【好奇心】が言う事を聞かない。
自分の【好機芯】がまっすぐ示している。
自分の行くべき道を堂々と指している。
そして、
僕は【新世界】へと足を踏み入れた。
「よう、やっときたな。新世界に」
この声は!?もしかして、
「そう、そのもしかしての人だよ。君に新世界での生き残り方を教えてあげるよ」
そして、彼は私に手を差し伸べた。
そう、その男......ムラムラ男。
【好奇心】に支配された男。
僕は彼の手をさしのけ、自分の新世界へと入った。
この【好奇心】は自分のものだ。自分自身の力で生き延びてみせる。少しでも長く。戦ってみせる。アイテムもあるんだ。かかってこいVR、僕の本気を見せてやる。
彼の新世界は5ふ.....
「やめろぉぉぉぉおおーー」
敵は強かった。
【好奇心】に負けた。
【好奇心】
それは底知れず、鎮火していた魂を震え上がらせて、凄まじいほどの集中力と、狂気を感じさせるほどのやる気をもたらし、危険な道へと進ませる悪魔のような心である。