GINNSEI ネタ作りING

もがくニートはニートらしく、もがいて騒いでJUST DO IT!!!常に現在進行形で新しい事に挑戦していきたING達。

【僕誰、こかん太郎】1走者目の味付け


私はもう66歳だ。2人の娘に恵まれ、5人の孫がいる。側から見れば、ごく平凡な幸せ者だ。主観的に見ても、幸せ者だと思う。妻もまだ元気で健在である。

私は最近、過去の記憶を思い返して執筆している。余生を持て余した老人にはいい暇つぶしだ。ドラマチックな生き方はできていないが、とてもリアルな人生を歩んできている。自叙伝を書いてもまあ売れないであろうストーリーだ。だが売るつもりもない。先にもいったがただの暇潰しだ。


今になって人生を振り返っておこうと思った理由は2つある。

1つは私自身がアルツハイマーの疑いがあるという事、記憶違いや、思い出せない事、自分の記憶に自信を持てなくなる時がある。まだ思い出せるうちに、自分自身でこの生涯を振り返って、書き留めておきたい。

2つ目は、孫が私の部屋のタンスから持ってきたであろう1冊のノートの存在だ。古びてカビ臭く、雨にでもうたれたのか?びしょびしょに濡れたであろう形跡がある。要はボロボロだ。インクも滲んでおり(たぶん、濡れたときだろう)、ほぼ文章が読めない。見てみると、誰かと共有していたみたいだ。交換日記みたいなものだと思う。表紙にはそれとも読めなくない文字が書いてある。交換日記だとすれば、相手がいたはずだ。それに大事に保管してあったということは大切なものだろう。しかし、これが実は思い出せない。こればっかりは記憶が返ってくるのを待つしかない。少しでも手がかりがつかめればと、人生を出来るだけ自分が若い時から1つずつ丁寧に掘り起こして行こうと思った次第だ。

『興味が湧く』という経験はここ最近なかった。若いときはそれこそ、刺激やスリルを求めていた気がするが、今は単純な日々のリピートだ。それでもいいと納得できるぐらい年をとった。しかし、このノートは何か自分の心の奥の奥の奥に丁寧に寝かせていた情熱に対して訴えかけてくるものがある。私はこのノートに対して『興味が湧いている』のである。

1ページ目を開いてみると、辛うじて日付が読み取れる。2017年8月6日だ。ということは現在は2057年の11月5だから、約40年前だ。(私が26歳の時か)
この頃の私はいったい何をしていたかな。ポロっとノートから何かが落ちてくる。これは何だ?分度器か?ボロボロだな。







◆40年前 2017年8月6日

「よっしゃ、という事で、交換日記をやろう。どうよ?良いでしょ?工場長?」
「やっちぁえ」
「おけ、漱石もやるっしょ?」
「いいね。やろっか」
「こういう風にノートを作ると、何か書くネタを探さないといけなくなる。すると行動する。失敗してもノートのネタ、成功すれば万々歳。どっちにしてもイェーイってな感じ?そんで最終的には本にして、俺たちの自叙伝にしようぜ!!」

俺、26歳、みんなからは小次郎と呼ばれている。理由は名字が佐々木だからだ。今年の活躍がこれからの人生に大きく影響してくる気がする。もう26歳、ほんといつまでも子供じゃいられない。小さくてもいいから何か結果を残さないといけない。現在は工場長と漱石と一緒に沖縄でリゾードバイドをしている。2人とはあることがきっかけで出会い、[地球冒険隊]の一員として、数ヶ月間地球を共に旅をして、仲良くなったいわば同士だ。

「交換日記の題名なんにしよっか?僕たちの交換日記とかどうけ?」
「くぅ〜いいね。流行ってんだよ。流行ってんだよ」(工場長は流行りに敏感だ)
「でも、『ボクたちの交換日記』みたいな映画あった気がするよ」
漱石、マジか?じゃあ『僕は誰と交換日記をしていたんだろう』は?なんかミステリアス感あってよくないけ?工場長どう思う?」
「いいね、やっちぁえ!!」
漱石なんか他にある?」
「ん〜『題名はまだない』は?」
「くぅーいいね!ピタッとくるよ。それ」
「いや、漱石、それは漱石だよ」
「猫の目線で書くとかも面白いかもね。」
「やっちぁえ!とってもピタッとくる」
「いや、漱石ね。それね。それもう漱石
「じゃあ、『坊っちゃん』は?僕たちもう大人だけど子供みたいだし」
「攻めるね。漱さん。もうピタだ。べったりくっついてる。くぅ〜。やっちぁえ」
漱石!!!そうはもう漱石じゃ!!!完膚なきまでに漱石じゃ。もうはじめの『僕は誰と交換日記をしていたんだろう』にするわ。いいやろ?」
「いいよー」
「くぅーいいね。」

そうして、僕たちの交換日記は始まった。いつまで3人が一緒にいれるかはわからないけど、こうやって、3人で出来るうちに何かをやっておきたい。いつかはいい思い出となって、笑える時がくるだろう。懐かしむこともできるかもしれない。
「どうしたん?漱石?」
「いや、なんでも。なんかそこに置いてある分度器が気になって、そんなの置いてあったっけ?」
「おー確かに、誰かが置いていったんじゃないかな〜」
今僕たちは一緒にゲストハウスに泊まっている。


「さぁ1ページ目には何を書こうかな!!」

これからの人生が楽しみだ!!